記憶の象徴
「人類の記憶を美しく」、これは私たちが見据えるビジョンです。
記憶(Memories)という言葉こそ、kyuが捉える唯一のテーマであり、すべての活動の原点です。
kyuのロゴも例外ではなく、「記憶の象徴」としてデザインされました。
記憶の核となる要素(目、脳、地球など)から着想し、とてもシンプルな円形のロゴ(シンボル)ですが、このロゴの形には、私たちのコンセプトや価値観が自然と反映されています。
そこで今回の記事では、ロゴの成り立ちを振り返りながら、kyuが大切にしている価値観や想いの一部をご紹介していきます。
海辺にて
記憶というキーワードとビジョンを手掛かりに、ロゴデザインのプロセスが始まりました。
記憶という概念に明確な形はなく、デザインは難航を極め、2021年の年末にチームメンバーと海辺で合宿を行うことに。
抽象的なイメージをPinterestで共有し、デザイナーの松浦が具体化する。そんな作業を夜な夜なやっていましたが、心に響くデザインには辿り着けませんでした。
一夜明けてまだ薄暗い早朝、宿泊先の目の前の海辺で見た日の出が、私たちの記憶のカタチを決めるきっかけとなりました。
静かな海辺に昇る太陽の強烈な光が眼に焼き付き、脳に刻まれる感覚に心は熱くなりました。その時見た太陽の輪郭が、メラメラと揺れ動いて見えたのです。
チームメンバー全員が、「これこそが記憶のかたちだ」と確信しました。
太陽の力強さと不完全さを、"形の定まっていない円"として表現できないかと考え、記憶が環境や感情によって変わるような有機的な形状を目指しました。
その試行錯誤で辿り着いたのが、現在のロゴデザインです。
不完全さ
通常、ロゴデザインは明瞭な形状により差別化を図り、認識されることが重要とされてきました。
今回私たちが採用した不完全な形のデザインは、この常識とは異なる新たなアプローチかもしれません。
しかし、その曖昧さこそ、kyuが持つ重要なアイデンティティです。
また、この曖昧さは、製品に印字する量産工程においても有効です。
商品開発では、量産中に必ずばらつきが発生し、ロゴ部分においても一定の確率でNGが出ます。
つまりロゴの精度にこだわることで不良率が上がってしまう訳です。
(左)ep1、(中央)daypack、(右)cloth
kyuのロゴは、どの媒体においてもNGになりづらいデザインになっています。なぜなら「正円に見えない」ことで成り立つという曖昧さを許容しているからです。
量産工程において、ロゴの形状に起因する廃棄を減らすことができることは、私たちにとって大きな副産物となりました。
アートとサイエンス
どのような場面でも、物事を論理的に考えて行動することは重要です。しかし同時に、人間が持つ直感や感性も大切にしたいと私たちは考えています。
これは、私たちのロゴデザインにも反映されています。
実はkyuのロゴ(シンボル)は、記憶の曖昧さを9角形で表現しています。
「9角形(kyu-kakkei)」にしたのは、「kyu」の言葉尻を取って決めました。
これは全く論理的な意思決定ではありませんが、私たちの遊び心や感性が現れたもので、まさにアートです。
記憶の象徴として
私たちが曖昧なテーマである記憶(Memories)に取り組むには理由があります。
kyuを運営する株式会社TranSeは、これまで動画制作やコミュニティ運営、スクール事業を行ってきました。
事業を営む中で、動画が持つ本質的な価値は「曖昧な思い出が具体化して残ることにある」という理解に辿り着きました。
英語では同じMemories(Memory)ですが、「思い出」を「記憶」という言葉に言い換えているのは、より壮大なことにチャレンジしたいという意志が込められています。
カメラの発明から200年、誰もが思い出を写真や動画で残せるようになりましたが、思い出を残す過程には未だ解決すべき多くの課題が残されています。
だからこそ、私たちは「思い出の残し方を再発明する」というミッションをもと、これらの課題を解決するソリューションを提供し、人々がより良い形で思い出を残せる手助けをしたいと考えています。
このミッションは、私たちの活動の源(エネルギー)であり、ブランドとしての約束です。
kyuのロゴには、これらすべての意志と決意が刻まれています。ロゴ一つを見て頂くだけで、kyuのビジョン、ミッション、そして価値観を感じ取って頂ければ幸いです。
私たちの活動はまだ始まったばかりですが、本当の意味で「記憶の象徴」となり、人類の記憶を美しくするためにこれからも活動していきます。